らびっとクリニック院長の医療雑話

リウマチ性多発筋痛症の治療(リウマチ疾患ミニ講座②)

投稿日:2018/10/22

リウマチ性多発筋痛症は決して珍しい病気ではありません。欧米では50歳以上の方では10万あたり700名以上いるとの報告もあり(0.7%以上)関節リウマチの患者数にも匹敵するほどです。本邦ではやや少ないとも言われていますが、今後超高齢社会がさらに進行するにつれてますます増えていく病気だと考えられます。

少量の副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン10−15mg/日)が著効することが特徴ですが、ステロイドの副作用(骨粗鬆の進行、感染症、糖尿病など)に注意が必要です。最近は関節リウマチで使用される抗リウマチ薬の有効性も報告されており、将来は治療内容が大きく変わっていく可能性もあります。

いずれにせよ、早期診断・早期治療が大切で、きめ細かいステロイド量の調整を行うことで日常生活能力を大きく改善さることができる疾患です。

 

高齢者のうなじ・肩周り・臀部・太ももの強い痛みとこわばり(リウマチ疾患ミニ講座①)

投稿日:2018/10/11

ーリウマチ性多発筋痛症ー

起床時に肩、腰が痛くて着替えられない、夜中に肩の痛みで目覚める、体がだるくて微熱がある、昼寝の後に身体中がこわばっている

50歳以上の壮年、高齢の方でこのような症状があった時に、私たちリウマチ医はリウマチ性多発筋痛症を疑います。

リウマチといっても関節が腫れて関節変形をきたす「関節リウマチ」ではありません。

関節リウマチとの一番大きな違いは、リウマチ性多発筋痛症では基本的に関節炎はなく、関節周囲のクッションにあたる滑液包と言う場所に炎症を起こす点です。

時にこの病気は、太い血管の炎症(大動脈炎)を合併することがあり、脳の太い血管に炎症が起こると、稀ながら脳梗塞の原因にもなることがあるので早期に正確に診断することが大切です。

血液検査が最も重要で、赤血球沈降速度(血沈)、CRP上昇を伴っていることがほとんどです。

「レントゲン写真で異常がないので五十肩と診断された」、「リウマチ因子が陰性でリウマチではないと言われた」、「加齢に伴う変形性関節症と診断された」という方々の中にこの病気が見逃されている可能性もあるので、気になる方はリウマチ科でぜひ検査を受けてみてください。

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分類基準(米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会2012年暫定基準)

50歳以上で両肩の痛みと炎症反応上昇(CRP、赤沈)がある患者で、

1)45分以上の朝のこわばりあり(2点)

2)臀部の痛み可動制限あり(1点)

3)リウマチ因子、抗CCP抗体がともに陰性である(1点)

4)末梢(手や足)の関節痛がない(1点)

上記合計点が4点以上でリウマチ性多発筋痛症に分類する

(超音波の所見を加味する場合もある)

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秋雨の同窓会

投稿日:2018/9/9

私が香川の大学を卒業して医者になったのは昭和63年。昭和の最後の春の卒業生の一人です。

今日99日に30年目にして初めての同期生の同窓会が高松であり、参加してきました。卒後すぐに母校を離れた私にとって、殆どの人とは30年ぶりの再会で、最初は誰かわからない人が多かったのです。ただ宴も進んで会の終わりに近づくと名前や当時の姿のままに記憶が戻ってくるのが不思議でした。

30年経つと亡くなった同窓もいれば難病と闘っている友人もいます。近況を聞くことは懐かしさと悲しさの入り混じったなんとも言えない感覚でした。

一次会がおわり、そこで多くの人が去り、二次会でも時間を追うごとに一人去り、二人去り。人生の舞台の退場もおそらくこのようなことなのかと思いながら、私自身も帰りの飛行機の時間に合わせて途中退席させて頂きました。握手という挨拶のありがたさ 。「またいつか」という言葉のありがたさ。後に残る友人の場が雨の夕刻に、なお湿りを増す気配も感じながら…

雨の少ない香川では秋雨は農家にとっては貴重な潤いです。同窓会の雨が、すでにラストコーナーを回りつつある我々走者の一人一人にとっても潤いの一雫なることを祈りながら。

9月の掲示板

投稿日:2018/9/4

不眠は大変辛いものです。ただ睡眠導入薬やいわゆる「安定剤」(抗不安薬)などに安易に頼ることは避けたいものです。

多くの睡眠導入薬はベンゾジアゼピン受容体作動薬といわれ、時に依存(やめにくくなること)や健忘(薬を飲んだ後の行動を覚えていないなど)、ふらつき・転倒などの副作用が出現する事があります。まずは規則正しい生活習慣や運動、睡眠前のリラクセーションを試みてみましょう。そして何より「眠らなければ大変だ」と過剰な不安に陥らない事がとても大切です。

 

ちょっとだけ避暑ー龍王峡

投稿日:2018/8/11

8月9日から8月16日まで夏休みをいただいています。

8月10日に、日光国立公園の龍王峡でハイキングをして来ました。鬼怒川でなんちゃってカヌーも体験。

犬も私もずぶぬれ。

 

8月掲示板

投稿日:2018/8/11

暑い暑い夏です。みなさん、熱中症に気をつけてください。

でもクーラーの効いた室内でじっと動かないでいるのもお勧めできません。

涼しい場所で無理のない体操を続けてください。心と体の体力維持に日々の運動が役に立ちます。

笑顔の力

投稿日:2018/7/4

生まれつきの能天気が笑いを発生させるのではなく、苦しい境遇からこそ上手な笑いが発明されるのではないか思うことがあります。先日、落語の歌丸師匠がお亡くなりになりましたが、晩年の師匠が酸素を吸いながら高座を演じる姿は笑いの対極の姿のようでいて、実のところ死を笑いにする究極の芸であったのかもしれません。「なに、あーた、お陀仏なんてこたー、てーしたことじゃあございません」てな具合に。先日のNHKスペシャルでは軽やかな江戸っ子気質は、繰り返し江戸の町を焼き尽くした大火災が生み出した文化なのだとも。太宰治の小説の中でも同じようなこと言ってましたね。滅びの中の明るさといったことを。

笑顔を作るにも努力が必要です。苦しいからこそ軽やかに笑う。慢性痛に苦しむ人の笑顔に逆に励まされることも少なくありません。

 

6年ぶりの長崎 What a wonderful world

投稿日:2018/6/3

長崎の友人に会うために、朝5時に起きて、8時過ぎの羽田発の飛行機に乗りました。

稲佐山を見上げながら、昼食の中華料理を楽しみました。山の中腹あたりまで住宅が密集していて、私が「高い場所の方が人気があるの?」と尋ねると、「いや逆かな。山の上の方に住んでいると、年取ってたいへんなんだよ。救急車も入れないとこもあるしね。」

私たちは80年代を四国高松で過ごし、二人ともブリティッシュロックが大好きでした。いつもセンスのいい彼が「ちょっとこの曲がかっこいいよ」と教えてくれていました。週末に彼の下宿で小林克也の「ベストヒットUSA」を見せてもらうのが楽しみでした(うちにはTVがなかったので)。

「どうして中年になると「懐メロ」ばかり聴くようになるんだろうね」

「そうそう。最近iTuneでダウンロードしたものはみんな80’sばかり。デュランデュランとか、エコー&バニーメンとか」

「僕は、娘と一緒に椎名林檎のコンサートに行ったりするよ」

「親子で趣味が似るのかな」

「そうだね。似ているね。」

「子供の年を考えると20年もたったんだと思う。あっという間だな」

友人と駅前で別れた後、大浦天主堂とグラバー園を一人で回ってきました。

英語と韓国語と中国語と関西弁が飛び交い、静寂と雑踏が交わり、200年以上強い意志で信仰を守った潜伏キリスト者に感嘆し、幕末のスコットランド人と日本人との交流に驚き、初夏の海辺は蒸し暑く、日陰に入ると海風がひんやり涼しく、ああなんて素敵な場所なんだと。素敵な時間なんだと、そう思ったのです。

5月の掲示板

投稿日:2018/5/6

皆さまゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。

私は愛犬と南房総をドライブしてきました。養老渓谷遊歩道では普段使っていない筋肉を使って少し筋肉痛です。今月の掲示板はサルコペニアについてです。サルコペニアとは、年齢とともに筋肉が衰え痩せていくことを言います。リウマチ性疾患の方は筋肉が痩せやすく運動と食事によって筋肉の維持が重要です。

芝川の土手の菜の花

投稿日:2018/4/22

日曜の朝は、我が家の犬と大体この辺を散歩しています。今は菜の花が芝川沿いの土手を緑と黄色に染め分け、見沼たんぼにはさまざまな花が咲いています。

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
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