線維筋痛症について

いたみとは何か?

いたみとは、不快なからだの「感覚」であると同時に不快な「情動」体験であると定義されています(国際疼痛学会)。「からだが傷ついている」という身体感覚と苦痛に満ちた心の動き(負の情動)がセットになっているのです。負の情動には怒り、不安、恐怖、悲しみなどの感情がうごめいています。

いたみがどんなに辛くひどいものであっても、様々なからだの精密検査によって、いたみの原因となる「身体のきず」が見つかるとは限りません。むしろ長引くいたみの多くは身体的検査で異常が出ないことの方が多いのです。私たちは、慢性痛の患者さんを見るときにからだの異常を捜すと同時にこころの動きにも注意を払います。怒り、不安、恐怖、悲しみなどの感情や記憶といたみの関連を理解しようとします。この両面的(表と裏、または外側と内側)アプローチこそが、慢性痛診療に欠かせない基本的態度であると考えています。そして線維筋痛症は慢性痛の代表的疾患と言えます。

線維筋痛症はどんな病気?

長引く慢性のからだのいたみの中で、線維筋痛症はもっともよく見られる病気の一つです。多くの国で人口の約2−3%がこの病気を持っていると報告されています。日本では200万人以上も患者がいると言われています。線維筋痛症という言葉は最近になって耳にする機会が増えてきましたが、最近見つかった新しい病気ではありません。欧米では200年以上も前から原因不明の全身痛として知られていました。全身の筋肉や腱や関節などに強いいたみを感じるのにも関わらず、様々な臨床検査を行っても身体的異常が見つかりません。また線維筋痛症の方の多くがいたみ以外に、疲れやすさ、眠りにくさ、頭のぼんやり感を伴っています。fMRIを用いた最先端の研究では脳の複数の部位の機能的異常によって、痛みの情報処理が「誤作動」を起こしていることが分かってきました。現在線維筋痛症は、米国リウマチ学会が作成した基準(1990年分類基準、2010年予備診断基準)を用いて診断されます。

線維筋痛症 Minds版やさしい解説

線維筋痛症は難病?

どのような病気でもこじらせてしまうと治りにくいものです。線維筋痛症も病状が長引くうちに重症になったり、治りにくくなってしまいます。しかし、全ての人が治らないわけではありません。3か月以上続いた長引くいたみでも、早い時期に適切な対処を行うことで、多くの人の病状が改善することを経験しています。「適切な対処」とは薬の治療だけではなく、運動療法や生活習慣の改善、ストレス対処力の向上、良い睡眠をとることなどが含まれます。

また、治療者と患者さんの信頼関係が良好でなければ治療は成功しません。治療者と患者さん相互に協力しあって病状改善のために努力する必要があります。

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