ーリウマチ性多発筋痛症ー
起床時に肩、腰が痛くて着替えられない、夜中に肩の痛みで目覚める、体がだるくて微熱がある、昼寝の後に身体中がこわばっている…
50歳以上の壮年、高齢の方でこのような症状があった時に、私たちリウマチ医はリウマチ性多発筋痛症を疑います。
リウマチといっても関節が腫れて関節変形をきたす「関節リウマチ」ではありません。
関節リウマチとの一番大きな違いは、リウマチ性多発筋痛症では基本的に関節炎はなく、関節周囲のクッションにあたる滑液包と言う場所に炎症を起こす点です。
時にこの病気は、太い血管の炎症(大動脈炎)を合併することがあり、脳の太い血管に炎症が起こると、稀ながら脳梗塞の原因にもなることがあるので早期に正確に診断することが大切です。
血液検査が最も重要で、赤血球沈降速度(血沈)、CRP上昇を伴っていることがほとんどです。
「レントゲン写真で異常がないので五十肩と診断された」、「リウマチ因子が陰性でリウマチではないと言われた」、「加齢に伴う変形性関節症と診断された」という方々の中にこの病気が見逃されている可能性もあるので、気になる方はリウマチ科でぜひ検査を受けてみてください。
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分類基準(米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会2012年暫定基準)
50歳以上で両肩の痛みと炎症反応上昇(CRP、赤沈)がある患者で、
1)45分以上の朝のこわばりあり(2点)
2)臀部の痛み可動制限あり(1点)
3)リウマチ因子、抗CCP抗体がともに陰性である(1点)
4)末梢(手や足)の関節痛がない(1点)
上記合計点が4点以上でリウマチ性多発筋痛症に分類する
(超音波の所見を加味する場合もある)
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