らびっとクリニック院長の医療雑話

診療雑話season1ーふたりの筋痛症(3)

投稿日:2013/3/12

「赤血球沈降速度が1時間あたり86mmでCRPが5.6とひどく上昇していますね。体の中で強い炎症が起こっているんですね。」コンピューターから目をはなした医者はハルコさんの両肩に触れて丁寧に診察を始めました。
「悪い病気なのですか?」
「いえ、そうではないと思います。ただ治療に少し時間がかかるかもしれません。」
ポータブルの超音波装置で肩の関節の画像を確認しながら医者は説明を続けました。
「関節の近くにある滑液包という潤滑液をいれた袋が炎症を起こしていて、これが痛みと炎症の原因なんですね。この赤いチラチラみえる炎の様な部分があるでしょう。ここが炎症をおこしているところです。リウマチ性多発筋痛症という病気だとおもいます。」

プレドニゾロンというステロイドホルモンを15mg服用開始したところ、翌日には痛みが10分の1程度に軽減しました。喜んだハルコさんは1週間後にクリニックで報告しました。
「おかげさまですっかり治ったみたいです。薬ももういらないと思います。」
「そうですか。そこまでプレドニゾロンが速攻で効いたのであればリウマチ性多発筋痛症で間違いないですね。ですが本当の治療はこれからなんです。1年くらいはおつきあいしていただきながらゆっくりゆっくり薬を減らして行くことになります。この病気はステロイドホルモンの減量を急ぎすぎると再発することがとても多いのです。あと少し太りやすくなりますから食事に気をつけてくださいね。」(この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません)

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
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