らびっとクリニック院長の医療雑話

診療雑話season1ーふたりの筋痛症(2)

投稿日:2013/3/10

ハルコさんは今年70歳になりましたが、傾聴ボランティアや絵本の読み聞かせサークルなどで日々アクティブに生活している方です。友人も多く何かと頼まれ事や相談事を持ち込まれますがそれもまた楽しみのようです。昨日はお隣の板見さんのおばあちゃんがいつものようにお嫁さんの愚痴をこぼすのを聞いてあげました。
「ほんとにうちの嫁はいつも体中が痛い痛いといっては寝込んでばかりでこまるのよ。整形外科に行ってもどこも悪くないっていうんだから、気のものだと思うのよね。お陰で私のほうに家事のいっさいが回ってきてもういい加減にしてほしいわよ」
板見のおばあちゃんは腰が少し曲がっているもののとても元気そうです。
「そうですか。板見さんも大変ね、でもお嫁さんも大変なのよ、いろいろ。近所に最近できたリウマチ科の診療所に行ってみてはどうかしら、いろいろ痛みの相談をしてくれるらしいわよ」
数日後のこと。ハルコさんは朝起きたときに両肩と首のあたりにこわばりを感じ、腰のあたりがいつになく重い感じがしました。激痛というわけではなかったのでそのまま様子を見ていると昼過ぎには少し調子が出てきて、近所のヨガ体操教室に出かけて行きました。夕方に帰宅して体温を計ると36.8度ですこしだるいような気がします。風邪の引き始めかなと思ってその日は早く休みました。しかし1週間が過ぎても似たような調子でスッキリしない日が続きました。いつものやる気が出ず、ボランティア活動も億劫で休みがちになりました。最近は1日を通して首のこり両腕や腰回り太ももが痛くなり、普段はすることのない昼寝をすることが増えてきました。心なしか痩せてきたようにも思います。

痛みが始まって2週間ほどたった頃、心配した夫の勧めでハルコさんは近所のリウマチ科クリニックを受診することになりました。「板見さんのお嫁さんと同じ病気かしらねえ」ハルコさんは、半年前の健康診断結果を見ながら「この時はどこも悪いところはないと太鼓判を押されたのにねえ」と溜息をつきました。(この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません)

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