消化器外科に対して消化器内科、循環器内科に対して心臓血管外科、呼吸器内科に対して呼吸器外科、神経内科に対して脳神経外科など。大学病院など総合病院の診療科体系は概ね横軸に臓器別区分を、縦軸に内科または外科の治療アプローチによる区分で診療科を分けていると見ることができます。そのような明確な区分を持つ診療科は歴史的に古くから独立してきた大所帯の診療科が多いと思います。
一方、心療内科、感染症科、腫瘍科といった臓器別区分ではなく疾患の成り立ち・病態による区分からなる診療科区分もある。さらにペインクリニック、救命救急部、老年科といった、患者の主訴や状況にそのまま対応する診療科もある。
認知症のある老人がお腹が痛くなった時、どこを受診するべきなのか?老年科なのか、神経内科なのか消化器内科なのか救命救急なのか?・・・正解はかかりつけ医でしょうか。つまり大病院の掲げる診療科区分は医療提供側の都合であって患者の窓口を必ずしも案内するものではないからです。「あなたはうちの科で診る病気ではありませんなあ?」現象が頻発する所以でしょう。
さてリウマチ科はどうでしょうか?。この診療科は極めて新しい診療科であり学問領域でもありますが、この科名は関節や筋肉を見るという臓器別区分名でしょうか、あるいは炎症や免疫というメカニズムを診るという病態区分名なのでしょうか?私はそのいずれにも違和感を感じています。本来のリウマチ科は四肢・体幹の筋骨格系疼痛を訴える患者に対応するかたちで分化してきた診療科だと思います。患者の体の「痛み」に対応する役割を持って誕生した診療科だと考えています。だから関節リウマチの最新治療にも当たるが、それだけではなく原因不明の発熱や筋痛、一部の感染症、老人の筋肉痛にも対応するし、さらに線維筋痛症などの心身症もその守備範囲に含まれると思っています。診療のかたちは患者の訴えに対応するところで作られる。整形外科と私たちは心臓外科医と循環器内科との関係のように相互依存的な協力関係に立てることが理想だと考えます。