しばらくブログの更新をしなかったところ、複数の外来の患者さんに心配されました。「何かありましたか?」と。このような駄文でも眺めていただいている方がいることは大変有り難いことだと思いました。ただいつでも発信できる情報や話題がある訳でもないので、そのような時期にはついブログから遠ざかってしまうことも事実です。そのようなときは自分自身の「言葉の力」が充実していないからかもしれない。
最近外来が込み合うことも多く、患者さんの話を十分汲み取る時間がないことがしばしばあると感じています。今日、ある患者さんから「外来の忙しいことはわかるが私の言葉を遮らないでほしい」と直截的にいわれました。大変申し訳なかったと後になって反省しました。
言葉がすれ違うときはとりわけ慢性疼痛の外来診療にとって致命的です。痛みを共有するためには言葉の力に頼るしかないからです。線維筋痛症の診療の難しさは言葉の力が充実していない時にはおそらくどのような薬の効果も半減するということです。
「治療的自我」という言葉を以前このブログでも紹介しましたが、医師自身の自我による治療的役割を、心身医学の領域ではしばしば重視します。自我のエネルギーを安定させておくことも医者の力量の一つである訳です。