らびっとクリニック院長の医療雑話

自律訓練法

投稿日:2012/8/19

リラクセーションの方法として、また様々なストレス関連疾患の治療として自律訓練法が用いられることがあります。昨年の日本心療内科学会総会でも実践的レクチャーを行なっていたので参加してきました。30年近く前、私がまだ学生だった頃、心理学の授業で教官が用意した自律訓練法の公式を唱えるカセットテープを聞かされて、爆睡してしまったことを思い出します。当時聞かされた内容は基本的に現在でも同じでしたが、線維筋痛症や慢性疲労症候群など心身相関を有する疾患と向き合うようになり、私自身としては「再発見」をしたような新鮮さを感じた次第です。ウィキペディアの記載によると、自律訓練法は1932年にドイツの精神科医シュルツ(Schultz,J.H.)によって創始された自己催眠法だそうです。
「気持ちがとても落ち着いている」、「手足が重い」、「手足が暖かい」という公式を心でゆっくり唱えながら、片方の手から順番に四肢に意識を集中してゆく中で、実際に手足が重く感じ、暖かく感じられ、ゆっくり自己催眠状態に入っていきます。間違ったやり方では効果がでなかったりかえって自律神経の乱れにつながるので、実際の指導は専門家にお願いするか、正書を参考にしていただきたいと思いますが、総じて安全なリラクセーションと感じています。それとあわせてゆっくりした深い呼吸が、心をゆったりさせてゆくと思います。
線維筋痛症の方を外来で続けてみていると、痛みは変わらないけれども、険しい表情が少しずつ和らいでゆくことを経験します。このレベルで満足してはいけないのかもしれないけれど、まずは痛みがあってもQOL(生活の質)を改善できることが第一義的目標なので「気持ちがとても落ち着いている」状態になっていただくことがとても大事なのです。

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