らびっとクリニック院長の医療雑話

肝心なことは目に見えない

投稿日:2012/2/15

開院して2週間目を迎えています。関節の痛み、筋肉痛、手の夜間の痺れと疼き、突然襲いかかる堪え難い激痛、様々な痛みの訴えに耳を傾けながら、時間の無常に過ぎてゆくことを恨めしく思う日々です。痛みと向き合うためには本当に多くの時間と胆力が必要です。それ程の大人数を診療したわけでもないのに一日の終わりにはヘトヘトになってしまいます。いろいろな診療の流れをシステマティックにしなければならないし、患者さんと共有する時間は可能な限り長く質の高いものでなければならないと考えていますが、そのためにはまだまだ多くの知恵が必要です。

私の娘が中学生ごろの時サン・テグジュベリの星の王子さまを読んで、冒頭の「肝心なものは目に見えない」ということを言っておりました。どうしてこのことを思い出したかというと、私が最も力を注がなければならないと思っていることがまさにこの「見えない」痛みの世界だと気づいたからです。本当に大事なことは、目に見える指標(例えばCRPとか関節点数とか、画像所見)ではなく、痛いという実存的な苦痛そのものではないかと思ったのです。うまく言えないのだけれど私がおそらくこの先ずっと探し続けるものの正体こそ、目に見えない「肝心なもの」ではないかという気がしているのです。私は痛いと言い続けるあなたの苦痛を信じている、しかし理解しがたい壁のようなものもしばしば感じる、それでも諦めず関わり続けたいと思います。目に見えないけど一番肝心なことだと思うから。

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