11月6日に神戸で開催された、NPO法人痛み医学研究情報センター(http://www.pain-medres.info/)主催の第10回慢性の痛みワークショップに参加してきました。この研究会は座学の勉強だけではなく参加者が実際に議論したりロールプレイをしながら、いたみ診療の問題を深めていく、双方向性・参加型の実践的勉強会です。参加者の多くが看護師、理学療法士、心理士などのコメディカルスタッフで医師の参加はむしろ少数でした。生物学的理論だけではなく実際の現場で、心理・社会的問題の複雑に絡まる慢性痛の診療の問題を多職種の医療者が共有することを目的にしており、薬品会社のスポンサーは全くありません。今回私はファシリテータ(討論の盛り上げ役)としてワークショップに参加させていただきましたが大変勉強になりました。参加している医師は、整形外科、麻酔科の方が中心で、内科医は私一人でしたが、70人近い参加者が積極的に現場の問題を提起してゆく中で、なぜ内科医がここにいないのだろうと不思議に思いました。リウマチ診療に関わる内科医はこの十数年で格段に増えたと思いますが、「慢性疼痛」に対する関心は必ずしも高くありません。薬だけではコントロール困難だからこそ、本当の臨床医の力量を試される分野なのに若い先生方が「面倒臭いこと」と敬遠しているとしたら残念でなりません。確かにリウマチ内科におけるここ十数年の薬物治療の進歩は誰しもが注目するところではありますが、「体の痛い患者をみる」というリウマチ医の出発点をもう一度思い出すべきではないかと深く感じた次第です。慢性痛はまだまだ踏破されぬ高い頂きであると感じました。しかし同志がたくさんいることも確認でき力をもらって帰ってきました。NPO法人痛み医学研究情報センターが発刊した「長びくその痛みあなたの力で治せます」も好評発売中です。(https://www.amazon.co.jp/gp/product/499091340X/ref=oh_aui_detailpage_o00_s00?ie=UTF8&psc=1)
投稿日:2016/11/6