らびっとクリニック院長の医療雑話

私の郷里の海水浴場で思ったこと

投稿日:2012/7/29

私は瀬戸内の小豆島で生まれ、15歳まで島で育ちました。高松市の高校に通うため寮生活を始めて以来実家で生活することなく三十余年が経過しましたが、現在も老親が島にいるため月に一度程度帰省をします。

両親の老いと病気に内科医として向き合うことは、私にとっては容易なことではありません。それは診療に必要な冷静さを邪魔する、ある種の濃厚な感情が介在するからです。ですから私は両親の良い主治医になれないと観念しています。

知り合いの医師のご家族を何人か主治医として拝見させて頂いていますが、ご家族の病気にたいする医師ゆえの思いや切なさを考えると同業者として身につまされることがあります。自分の親をこのようにみて欲しいと思うようにみることは、自分の親をみるようにみることと全く異なるのです。私が自分の母親の同世代の女性に親切であろうとすることは母親をそのようにみれないことの裏返しなのかもしれません。

過疎の進む郷里の老人たちの心細さは、少しだけ未来の日本中の高齢者の孤独をちょっと先取りしただけのことかもしれません。人影疎らでかつての賑わいを失った夏の海水浴場を見ながら考えたことです。

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