らびっとクリニック院長の医療雑話

痛みと怒りと反省と

投稿日:2012/3/13

私自身が慢性的な頭痛もちです。筋緊張型の頭痛だと自分で判断しておりますが仕事に不自由を感じるほどのものではありません。夕方外来診療が終わるころに時折肩が張り後頭部が重痛くなりますが、夕食と風呂でまぎれる程度ですから、まあたいしたことは無い。痛みについて患者さんとよく話すことですが、「慢性痛というのは、自分の中にいる腐れ縁の相棒ぐらいに思ってみませんか」と。多くの患者さんはそんな生易しい痛みではないという顔をされますが。

痛みと怒りは近いのではないかと時々思います。私はしばしば感情が波立ったあとに頭痛を感じますが皆さんはいかがですか。高ぶる感情は重い頭痛に変わりやがて反省を伴った苦い気持ち変わっていく。ここで認知行動療法の出番となります。

疲れながら根をつめて仕事を続ける→腹が減って怒りっぽくなる→ちょっとしたトラブル→時に怒る→つい言い過ぎてしまう→頭痛を感じながら反省する→気分が滅入る→頭痛がひどくなる→さらに怒りっぽくなる、といった自動的なサイクルに陥るというのが私自身のパターンです。この悪循環から逃れる意識的な行動変容が認知行動療法の基本です。

疲れたときには休む。根を詰めない。腹が減ったらご飯を食べる。怒りっぽくなったら気分転換する。いろいろ反省しない。6割ていどの成果に満足する。このような行動と意識の変容が「いつもの相棒」をすこし黙らせてくれるかもしれません。

そもそも、無理をしてでも何かをやり遂げよう、最善を尽くして完璧を目指そうと無意識にがんばりすぎる方が痛みを感じやすい傾向があります。もちろん本人にとっての痛みは実際に実存するものであって気の持ちようで何とかなるというような形而上学的な虚像ではありません。でも長い習慣の中で「痛むような」生活をし、「痛むように」生きているようなことはありませんか。炎症性の痛み、外傷による痛み、神経障害性の痛み、原因はそれぞれの医学的方法でしっかりとることが第一です。そのうえでさらに痛みを悪化させる行動パターンを変容させていくこともきっと大きな力になるはずです。

痛みを相棒に持つ皆さん、怒りすぎたり、反省しすぎたりしていませんか?え、もっとおまえは反省しろと言う声が後ろあたりから聞こえるような気も(^^;

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
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