らびっとクリニック院長の医療雑話

日本リウマチ学会での線維筋痛症教育講演

投稿日:2016/5/5

4月21日から23日までパシフィコ横浜で第60回日本リウマチ学会学術集会が開かれ、最終日の学会と翌日のアニュアルレクチャーコースのみ参加し、教育講演、ランチョンセミナー、シンポジウムなどを聞いてきました。これまで日本リウマチ学会は線維筋痛症などの慢性疼痛に対するセッションは必ずしも大きな扱いではなかったのですが、今回初めて教育講演として線維筋痛症を取り上げたということでした。線維筋痛症の教育講演は松本美富士先生が担当されていました。最近の線維筋痛症の話題の中で印象的だったことは、線維筋痛症の一部は脳内神経炎症が原因であるというトピックスです。脳の中の海馬、扁桃体、帯状回、視床など、記憶や情動、疼痛に関わる脳の各部位でミクログリアが活性化を起こしていることが研究的画像検査で見られるようです。リウマチ性疾患に線維筋痛症は多く合併します。関節リウマチ:12%、変形性関節症:7%、全身性エリテマトーデス:9.5%、甲状腺機能低下症:7%、原発性シェーグレン:1244%に線維筋痛症が合併するとされており、リウマチ医の注意喚起を松本先生は改めて促していました。本来米国リウマチ学会が線維筋痛症の診断基準を確立しリウマトロジストの診療領域と明確に位置付けていることに比べて、本邦のリウマチ医の関心はまだまだ高いとは言えないようです。

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