らびっとクリニック院長の医療雑話

奇跡の薬(2)

投稿日:2013/4/18

ハルコさんの全身の痛みは、リウマチ性多発筋痛症によるものと診断されました。これは関節リウマチと異なり、指や手の関節炎は起こらず肩や肩甲骨の周り、腰や臀部、太腿に筋肉の痛みが現れる病気です。高齢の人に多く体重減少を伴うことも多いのですが少量の副腎皮質ホルモンがとてもよく効くことが特徴です。

ハルコさんもプレドニゾロン5ミリグラムの小さい錠剤を1日3錠飲んだだけですぐに痛みが和らぎ、2週間もするともとの元気を取り戻しました。すぐにでも薬をやめられそうな気がしているのですが、薬を飲み出してからもう2ヶ月も経つのにやっと15ミリグラムが10ミリに減っただけです。

「先生、もう炎症反応も良くなっているようですし、ステロイドはまだまだ飲まなければなりませんか?体重が3キロも太ってきましたし、娘は怖い薬だから心配だって言うんです」
「そうですね、血糖値とヘモグロビンA1cも7%に上がってきましたね。確かにステロイドの副作用もあると思いますが、食事や運動にも気をつけてください。これからはだいたい4週間ごとにプレドニゾロンを1ミリグラムずつ減らしていきましょう。でも5ミリを切る頃から再燃してくることもあるので慎重に減らして行きましょうね。」
「はあ、月に1ミリですかあ…」

ハルコさんはヨガ教室に最近また通い出したのですが以前ほどは楽しめなくなったような気がします。以前なら何でもなかったポーズができなくなったり、無理をすると足が夜中につったりします。

みんなの動きについていけずに休憩ばかりしている40台の女性に気づいたハルコさんは声をかけてみました。
「体が調子良くないのね、結構きついでしょう。私も体調を崩したから結構辛いのよ。」
「私は体じゅうが痛いのですが、お医者さんに『リハビリだから』って言われて1ヶ月前からきているんです。ヨガって見かけによらず結構きついものですね。これでも少しはできることも増えてきたほうなんですけど」
とハルコさんに声をかけられたタエコさんは腰をさすりながら愛想笑いを浮かべました。(この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません)

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