らびっとクリニック院長の医療雑話

奇跡の薬 エピローグ

投稿日:2013/5/6

「奇跡の薬」という言葉は、Henchが重症の関節リウマチ患者にたいしてコルチゾンを使用し、その劇的な効果を賞賛したニューヨークタイムズによって使用された言葉です。このことはプロローグで触れました。
強力で有益な薬理作用を持ちながら副作用のない薬をいち早くスクープとして伝える役割をマスメディアは忠実に果たそうとします。薬に対する過剰な期待感が報道のセンセーショナリズムを生み出すのかもしれない。ステロイドの薬理効果の一面がまさに「奇跡」的であったことは間違いありませんが、その後多くの好ましくない作用に気付かれるようになると、今度は必要以上に否定的な報道に転換したり「薬害」を強調したりもします。期待と失望がそのような両極に評価を振ることになるのでしょう。それは政治の世界のポピュリズムと同じで、受けのいい情報のみ提供する偏った報道と言えます。

薬は発売当時には気づかれなかった有害事象が、市販後に大規模に使用されるようになってから気づかれることは少なくありません。報道の公平性は患者対医療提供側の「立場の公平性」というものではなく、薬のベネフィットとリスクという薬効を公平に評価できるような報道のあり方だと思います。

新薬や新しい治療法をマスメディアがセンセーショナルに扱う時に、警戒する必要があるかもしれません。何故なら新薬とか新治療法という商品を患者という市場に売りさばかなければならないという力学がどこかで情報提供に関わっている可能性があるからです。民間薬や健康食品の宣伝広告でも同じことが言えると思います。

ステロイドはすでに発見されて半世紀以上が経過しても、なおその薬の重要度は未だトップクラスから落ちこぼれたことのない優等生です。多くのリウマチ性疾患や自己免疫疾患における第一選択薬であります。正しく使いきちんと監視しながら使用していくべき薬と言えるでしょう。

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
↑