らびっとクリニック院長の医療雑話

信念の言葉を聞くこと

投稿日:2013/9/20

「・・・・私たちの大義が勝利を迎えることを疑ったことがない人間の一人だからだ。私たちが望んでいたより早くはなかったし、幾人かが想像したほど容易でもなかったけれど、確かに、間違いなく、それは勝利を迎える運命にあった。・・・・私たちはまだ、理想とした場所にはいない。・・・・」(アウンサンスーチー「ビルマからの手紙」毎日新聞9月16日)

信念に基づいた言葉はシンプルで力強い。長い年月に刻まれた彼女の目尻の皺は深く美しい。私はこの記事と彼女のポートレイトを新聞紙上に眺めながらある既視感を感じた。少し考えて、それは数日前に外来でみた患者さんのことであると気づいた。彼女は敬虔なカソリック教徒であり、最後の審判のことを確信している。必ずそのことが訪れることを。昨今頻発する異常気象と災害がもたらす意味を、ヨハネの黙示録の中の言葉を引用して教えてくれた。彼女は諦観に向かうのではなく、神を信じて自分のなすべきことを模索している。診察室の中で「先生」と「患者」が交代する。

病気の診療を通して多くの人生に触れ、様々な信念に接することが私にとって外来診療の喜びである。一方患者の迷いや混乱は私自身を不安にもさせる。診療の時間が足りないといつも言い訳しているが、スピリチュアルな言葉を聞くためには、自身の心のエネルギーの方が、時間よりももっと必要不可欠なものだと気づいている。

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
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