らびっとクリニック院長の医療雑話

リウマチ医の目指す寛解と患者の目指すしあわせと

投稿日:2012/4/12

関節リウマチの疾患活動性指標は、腫れている関節数、痛みのある関節の数、患者さん自身が判定する全般的評価、医師の全般的評価、CRPなどの複数の数値から計算する方法がとられます。この中で、患者の自己評価の指標が曖昧で意味がないと感じる医師が時々います。患者の全般的評価は気分で左右されるし、客観性や再現性が乏しいから、薬効判定に用いる指標としては望ましくないと考えるむきです。
そうでしょうか?CRPや腫脹関節数は客観的だからこれらの「再現性があり検証可能な」指標だけで疾患の勢いを評価するべきでしょうか。
こうした主張には医療提供者側の重大なパターナリズムの影が見え隠れするとは思いませんか。薬が効いているかどうかの判断に曖昧な患者の声などは不要であると。確かに患者の全般評価を上手に引き出すことは短時間の診療では困難なこともありますが、実はこの指標こそが最も重要なのです。満足しているのかいないのか。重篤なうつ状態を招く有害事象があるけれど関節炎だけは完璧に治すことができる薬が仮にあったとします。この薬で腫脹関節数、圧痛関節数、医師の全般評価、CRP値が全て完璧に良くても、うつ状態になった患者自身は最悪の気分だったとしましょう。この患者ではたとえリウマチが治ったようでも、「患者自身の全般評価」が最悪であればその薬は最悪といわざるをえないのです。

リウマチ治療のゴールは機能的寛解(難解な言葉です)あると昨今言われますが、このゴールにはQOLの概念が不明確ではないかと思うのです。

様々な制限のために、リウマチの低疾患活動性すら達成し得ない患者さんが時にいらっしゃいます。私はそのような活動性コントロールが困難な患者においても最大限身体的精神的苦痛を緩和すべきであるというrecommendationをACR/EULARが声だかく提唱してほしいなと思うのですが。

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