らびっとクリニック院長の医療雑話

リウマチ医の「多忙」と患者の「遠慮」

投稿日:2012/9/22

関節リウマチの外来診療は20年前よりもはるかに忙しくなりました。患者が増えたということではなく、診察室でしなければならないことがものすごく増えたからです。患者の28ヶ所以上の関節に触って丁寧に腫れと痛みを確認し、検査データを確認し、本人の日常生活動作能力(HAQ)を確認し、調子はどうであるかを確認する。必要があれば関節にエコーを当てて滑膜の腫れ具合も確認したりする。composite measureという方法で疾患活動性を電卓で叩いてちょこちょこ計算し、そこであまり病気がうまくコントロールされていなければ、薬の変更、増量を細かく検討し、患者さんに同意を得る。起こりうるリスクと期待される効果を説明する。生物学的製剤を使おうとするならば、結核や肝炎の既往はないか、間質性肺炎はないか、悪性疾患の存在や活動性の感染症はないか、目を皿のようにして検査データを確認します。それから使おうとする薬剤の効果と有害事象、経済的負担、利用できる医療・福祉の制度を説明し、インフォームドコンセントをとり、点滴の際にはアナフィラキシーを起こさないか細心の注意をはかり、終わったあとも何かあったら必ず連絡するようにと釘を刺す。そんな感じです。薬の副作用や薬効を確認する手順が山ほどあり多くの現場のリウマチ医はてんてこ舞いなのです。
これらの診療手順は、すべて医者から患者へ向かう方向の会話・行為ですが、患者から医者に向かう方向の会話に割かれる時間は多くはないでしょう。いかにも忙しそうに矢継ぎ早に質問してくる医者に向かって日々の不安や、まして心の悩みなどを話そうものなら叱られてしまうのではないかと言いたいことも遠慮してしまう。そんな方もきっと少なくないと思います。
これはこの10年間に多くの有効な薬剤が開発され、それを安全かつ最大限有効に使っていくために必要な大切な手順なのですがときどき患者さんの心の問題が置き去りにされてしまうこともあるかもしれません。

リウマチ医は関節におこる変化や内臓の変化を見て、免疫のシステムの是正を考えたり、関節機能をどんな手術で再建するかを考える仕事ではありますが、何よりも患者の人間的全体に対峙することが求められているのです。ですから皆さんの主治医があまりに忙しそうでも、ちゃんと言いたいこと聞きたいことは言ってください。「先生、今日はDAS28(疾患活動性評価のための計算値)の計算よりも私の話を聞いてください」と。

 

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
↑