らびっとクリニック院長の医療雑話

ベストセラーの医療本

投稿日:2013/6/4

「医者に殺されない…」という本が売れているというので、高松空港から羽田に降り立つ間、斜めに読んでみた。ベストセラー本というもののあざとい作り方がやや鼻につくが、読了感はさほど悪くはなかった。まともなことも意外にたくさん書いてある。人の死に際して医療のあるべき構えやリビングウィルの必要性については同感です。
ただ医療の世界にナイーブな一般の方がこのような本に「啓発」されて、服用している薬を全部ゴミ箱に投げ捨てたような事例もおそらく実際に起こったのだろうなと想像してみる。肺炎治療のため処方された抗菌薬を毒だと飲まなかった人々、インフルエンザワクチンをしないと決め込んだ慢性肺疾患の人々もいたでしょうし、これから増えていくかもしれない。これらの方々は薬の副作用を免れるであろうが、間違いなく一部の人々は薬の恩恵を捨てたことで寿命を短縮することでしょう。この利益ー不利益の重みの判定は統計的に判断されるものであって、筆者の独断でなされるものであってはならない。ここがいろはの「い」であり、「い」抜きの一般書が売れまくることはどうなんだろう、と心配になった。

このような私のくだらぬブログでも、不特定多数に公開する以上は他山の石として自戒せねばと思った次第です。

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