らびっとクリニック院長の医療雑話

テレビ好き

投稿日:2016/10/10

この半年の間、NHKの朝の連続テレビドラマ「とと姉ちゃん」を楽しみました。「暮らしの手帖」という生活雑誌を創刊した女性社長の半生をモデルにしたドラマです。午前中の診療を終えた昼休みにはほぼ毎日クリニックの休憩室で昼食をかきこみながら見ていました。また毎週日曜日の大河ドラマ「真田丸」も見逃していません。さらに最近では毎週土曜日に4回連続で放送されている「夏目漱石の妻」も大変面白かった・・・。何を隠そう私はNHKテレビドラマ大好き人間なのです。

3つのドラマとも実在の人物をモデルにしている歴史ドラマではありますが、現代劇として見たほうが楽しめるように思いました。作中の若い娘の語り口が、いまどきの女子中高生たちのタメ口のようで楽しいではありませんか。これらのドラマに共通するのは軽妙な作風だけではなく、家族というテーマと主人公の社会的な自己実現という2つのテーマが車の轍のように並んで描かれている点ではないかと思いました。必ずしも問題のないわけではない家族の絆を守りながら、同時に世の中に求められる(と同時に自分の求める)夢を実現していこうとするところ。家族を守ることは強いアイデンティティを構築し、世の中の要請に応えるという「大きな物語」は見ているものを強い感動(時に熱狂)に導いていく・・・でもこれって、いつかどこかで聞いたことのある空気感かもしれないと思いませんか?そう思うと素直に感動だけしていいのかと疑う気持ちもふつふつ湧き上がってくるのが私のひねくれたところ。

最近はサッカーやテニス、オリンピック、ノーベル賞などの「大きな物語」が日本人であることをとても誇らしく感じさせてくれることが目白押しでした。ただどうでしょう、身の回りの現実は。修復困難な家族関係で傷ついている人や自己実現以前に生活の羅針盤さえ見えにくい境遇の人も少なくない気がします。もちろん世の中にはいろいろな人がいる。逆にドラマの主人公だって、日の当たらなかった場所では、結構ダメダメだったのではないかと想像してみます。

大きな物語を思い描くことと小さな現実をしっかり見つめる作業は、ともに生きていく上でとても大切なことだと思います。日々の生活の営みは小さな現実ですが、いずれは大きな物語を紡ぐ一条の糸かもしれないと想像することも必要ではないかと。

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