らびっとクリニック院長の医療雑話

にせの痛風?ピロリン酸カルシウム沈着性(リウマチ疾患ミニ講座④)

投稿日:2018/11/15

痛風といえば、大酒飲みで美食家のかかる病気というイメージでしょうか?ある日突然足の親指の付け根がパンパンに腫れて、激痛で歩けない。大の男が、杖を使って泣きべそカキカキ来院するというような図で描かれることが多いと思います。本当は大酒飲みや大食家でもなく普通の若者や高齢女性にもありうる病気なのですが。

これと似た病気で、突然手や膝の関節が腫れて時に発熱する高齢者の病気があります。「偽痛風(ぎつうふう)」という病気で、関節の軟骨にカルシウムの血症が溜まって、ある日突然炎症を起こす病気です。急激な激しい関節炎の状態が、痛風そっくりなことから「偽痛風」と呼ばれますが、長引く関節炎を起こすような患者さんでは関節リウマチと間違えられることもあります。また時に発熱を伴うことがあるため、感染症と間違えられることも時にあります。さらに首の骨にこのカルシウム結晶が沈着して炎症を起こすと、激しい首と後頭部の痛みを訴えることがあり、髄膜炎などと間違えられることもあります(クラウンド・デンス症候群と呼ばれる)。X線写真で軟骨内に特徴的な石灰沈着像が見られ、関節液検査でカルシウム結晶を確認することで診断されます。リウマチ性多発筋痛症、RS3PEともよく似た発症の仕方をすることがあります。治療は消炎鎮痛薬が中心ですが、ステロイド注射が劇的に効くこともあります。

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