らびっとクリニック院長の医療雑話

「幸福の木」の不幸

投稿日:2012/3/7

開業祝いにいただいた観葉植物の「幸福の木」が、寒さのせいか、葉の周囲から黄ばんで一部枯れかかってきました。南方の木なので寒さには弱いのだそうです。夜になると暖房をつけていないクリニックの中の温度は冷蔵庫並みに下がります。名前がハッピーなだけに職員にはとても心配されています。クリニックの前途を示唆するように思ってか、看護師の一人が「先生この木をうちに持って帰ってもいいですか、ちゃんと再生させますから」と言ってきました。本当に元気になってまたクリニックに帰ってきてもらいたいと願うばかりです。

幸福の木の不幸はともかく、クリニックの診察室の中でも様々な溜息を日々聞きます。数週間前に身体の激痛のため車椅子で訪れたティーンエイジの女性が、今日はとても明るい表情で歩いて診察室に入ってきました。3週前とは別人のような変わりようでスタッフも驚いていました。痛みが10分の1まで和らいだと喜んでおられたことが、今日私の一番嬉しかったことでした。線維筋痛症は難しい病気に違いありませんが時にこのようなトンネルを突然抜けるような経験をすることがあります。

若い少女の痛みをなんとかしなければいけないという周囲のひとたちの思いは、祈りの気持ちに近いものです。そうした祈りの気持ちはおそらくは共鳴しあってなにがしかのpositiveな影響を患者さんに与えるのに違いありません。

幸福の木が再生することを祈る気持ちと比較するのは不適切かもしれませんが、不幸にしてはいけないという思いが病いの経過の何かを変えるかもしれないということ「つながり」の独り言でした。

何故らびっと? Concept 院長ブログ 医療雑話 クリニックからのお知らせ Doctor's Fileにて紹介されました
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